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○身体障害者福祉法(1949)によると、「この法律において「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上のものであって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう」と規定し、身体障害者を身体障害者手帳所持者としている。障害の種類は視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう又は直腸・小腸の機能障害であり、種類毎に1級から7級までの障害程度を決めている。

 

○「精神薄弱者」の定義は、精神薄弱者福祉法には見られず、1973年の厚生省事務次官通知「療育手帳について」によって規定され、その判定基準も示されている。障害の程度をA(重度)、B(その他)に分類している。A(重度)とは「知能指数がおおむね35以下のもの、又は、50以下で1級から3級までの身体障害を有するもので次のいずれかに該当するもの、ア.日常生活における基本的な動作(食事、排泄、入浴、洗面、着脱衣などが困難であって、個別的指導及び介助を必要とするもの、イ.失禁、異食、興奮、多寡動その他の問題行動を有し、常時注意と指導を必要とするもの」、B(その他)は「その他の程度のもの」である。
厚生省通知の判定基準は大まかでしかなく、実際に手帳を交付する各都道府県では程度を細分化した基準を設けている。ちなみに、行政用語で、「精神薄弱者」は「知的障害」に変更されることになっている。

 

○精神保健法(1993)では、精神障害者の定義を「精神分裂病、中毒性精神病、精神薄弱、精神病質その他の精神疾患を有する者」としている、この法は1995年に改称されたが、その際、法的定義の変更はない。

 

○わが国の障害者の法的定義は、対象になる障害の種類を列挙しているため、生活に影響する障害が生じてもこの範囲にない場合は、障害者とは見られないという定義の狭さの問題がある。
また、障害の判定基準は機能中心の傾向があり、機能障害の程度が必ずしも能力障害、社会的不利に連動するとは限らず、重度の機能障害があっても、社会的不利の小さい人はいるし、その逆もある。これらから障害者関係法に基づくサービスが必要な人も利用できないという問題が生じてしまう。

 

○アメリカ障害者法(ADA法)の「障害」の定義は、「A.個人の主たる生活活動の一つ以上を著しく制限する身体的、精神的障害、B.かかる障害の経歴、C.かかる障害を持つとみなされること」である。

 

3)障害者の人口
○日本の障害者は、身体障害児(者)、精神薄弱児(者)、精神障害者を合わせると、441万2900人(人口比3.6%)になる(表2)。

 

 

 

 

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